ペットがいる家の子供は、いつの間にか妙に頼もしくなってる

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うちの犬が来たのは、息子が4歳の秋だった。

最初の一週間くらいは、正直言って地獄だったと思う。子犬は夜中に遠吠えするし、息子は興奮しすぎて昼寝もしないし、私は寝不足で頭がぼーっとしながらペットシーツを取り替える日々。あの頃の写真を見返すと、みんな目の下にクマができてて笑える。でも今思えば、あそこから何かが始まってたんだろうな。

息子が最初にやったのは、犬の水入れに自分の麦茶を注ぐことだった。「のどかわいてるかもしれないから」って。いや、それ君の飲みかけじゃん、みたいな。当時はまだ「分け与える」という概念が未発達で、自分が好きなものは相手も好きだと思ってたらしい。犬は一応飲んでたけど。

それから半年くらい経った春先、息子が保育園から帰ってくると必ず最初に犬の様子を見るようになった。ランドセルも下ろさないうちに「ただいまー」って犬に声をかけて、しっぽの振り方で機嫌を判断してる。「今日は元気だね」とか「ちょっと疲れてるかも」とか、私より正確に読み取ってた。人間の顔色を読むのは苦手なくせに、犬の気持ちは妙に分かるらしい。

そういえば、私が子供の頃に飼ってた金魚の話なんだけど。毎日エサをやるのが日課だったんだけど、ある日学校から帰ったら水槽が空っぽになってて、母親が「お引越ししたのよ」ってごまかしたことがあった。今考えたら完全に死んでたんだろうけど、当時は本気で「金魚も引越しするんだ」って信じてた。子供ってそういうとこある。

うちの犬は今3歳で、息子は7歳になった。最近気づいたんだけど、息子が朝起きる時間が早くなってる。別に誰かに言われたわけでもないのに、6時半には自分で起きて、犬の散歩に行く準備をしてる。最初は「偉いね」とか褒めてたんだけど、本人にしてみれば褒められるためにやってるわけじゃないらしい。「だって、おしっこ我慢してたらかわいそうじゃん」って、すごく当たり前のことを言う顔で答えられた。

夏休みのある朝、私がまだ布団の中でぐずぐずしてたら、息子が犬のリードを持って玄関に立ってた。「ママ、行ってくるね」って。え、一人で?ってちょっと焦ったけど、近所を一周するだけだからって。スマホの位置情報アプリで見守りながら、なんだか変な気持ちになった。過保護すぎるかな、いや7歳ならまだ早いかな、とか色々考えてたら、15分くらいで帰ってきた。犬は満足そうで、息子は汗だくで、「暑かったー」って冷蔵庫から麦茶出して飲んでた。

犬の爪切りも、最近は息子が手伝うようになった。私が押さえて、息子が足を持つ。最初は怖がってたのに、今は「ちょっと痛いけど我慢してね」とか犬に話しかけながらやってる。で、終わったら「頑張ったね」って頭を撫でる。その姿を見てると、いつの間にこんなに落ち着いた動きができるようになったんだろうって思う。

保育園の先生に言われたことがある。「○○くん、お友達が転んだ時にすぐ駆け寄って大丈夫って声かけてましたよ」って。家では相変わらずゲームばっかりやってるように見えるのに、外ではそういう一面もあるんだ…って、なんか意外だった。

犬が体調を崩した時のことは忘れられない。夜中に吐いて、ぐったりしてて、動物病院に連れて行った。息子も一緒について来て、待合室でずっと犬の背中をさすってた。「大丈夫だよ、すぐ良くなるよ」って、たぶん自分に言い聞かせてたんだと思う。診察が終わって薬をもらって帰る車の中で、息子がぽつりと「ずっと一緒にいたいな」って言った。その声がいつもより少し低くて、ああ、この子なりに色々考えてるんだなって思った。

今、息子は学校の宿題をやる時も、犬が足元で寝てる。たまに犬が寝返りを打つと、「重いって」とか文句言いながらも、どかさない。そのまま算数のプリントを解いてる。

ペットがいる家の子供って、たぶん普通よりちょっとだけ早く、誰かのために動くっていう感覚を知るんじゃないかな。教えたわけじゃないし、マニュアルがあるわけでもない。ただ毎日一緒にいて、世話をして、たまに困らせられて、それでも好きで。そういう日常の積み重ねが、気づいたら子供の背中を押してる…のかもしれないけど。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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