
朝7時、いつもなら餌をねだって暴れているはずのうちの猫が、ケージの隅で丸まったまま動かなかった。
触ってみると、いつもより熱い気がする。でも体温計なんて持ってないし、そもそも猫の平熱って何度なんだっけ。スマホで検索しながら、心臓がバクバクしてたのを覚えてる。38度から39度が普通らしい。じゃあ今のこの子は? 分からない。とにかく分からないことだらけで、頭の中が真っ白になった。
かかりつけの動物病院に電話したのが8時半。受付開始が9時だから、留守電に「緊急です、折り返しください」って震える声で吹き込んだ。待ってる間、ネットで症状を調べまくったんだけど、これが失敗だった。検索すればするほど怖い情報ばかり出てくる。「放置すると危険」「すぐに受診を」って文字が目に刺さって、余計にパニックになる。冷静になれって自分に言い聞かせても、無理なものは無理だった。
病院から折り返しの電話が来たのは9時5分。症状を伝えたら「すぐ連れてきてください」って言われて、タクシーを呼んだ。キャリーケースに入れようとしたら、普段は嫌がって逃げるのに、その時は抵抗もせずにすんなり入ってくれた。それがまた怖くて。
診察室で先生が触診しながら「熱がありますね」って体温計を見せてくれた。40.2度。やっぱり高かった。血液検査とレントゲンを撮ることになって、待合室で待ってる間、隣に座ってた老夫婦の連れてた犬がずっと尻尾を振ってて、なんだか救われた気持ちになったのを覚えてる。こっちは気が気じゃないのに、あの犬は幸せそうで。
検査結果が出るまで30分くらいかかった。診断は「ウイルス性の感染症」。抗生物質と点滴で様子を見ましょうって言われて、その場で皮下点滴をしてもらった。費用は診察料込みで1万8千円。正直、財布の中身を確認した時は冷や汗が出た。クレジットカードが使える病院で本当に良かった。
ペット保険、入っておけばよかったなって後悔したのはこの時が初めてじゃない。以前、友達が飼ってるゴールデンレトリバーが骨折した時、手術代が30万かかったって聞いて「うわー大変だね」って他人事みたいに言ってた自分を思い出した。まさか自分もこんなに早く、こういう状況になるとは思わなかった。保険のパンフレットは家のどこかにあったはずなんだけど、結局申し込まないまま引き出しの奥に眠ってる。
帰宅してから、処方された薬を飲ませるのがまた一苦労だった。錠剤を砕いて餌に混ぜても、器用に薬だけ残して食べる。ちゅーるに混ぜてもダメ。最終的には口をこじ開けて、喉の奥に放り込むっていう力技になった。引っかかれて腕に3本線ができたけど、薬を飲んでくれたからまあいいか。
翌日の夜には少し元気になって、水も自分から飲むようになった。3日後には完全復活。いつものように朝5時に顔面パンチで起こされて、「ああ、治ったんだな」って実感した。あの時の安堵感は今でも忘れられない。
今回の件で学んだのは、「様子を見る」っていう判断がいかに難しいかってこと。ネットの情報は参考にはなるけど、結局は専門家に診てもらうしかない。あと、夜間や休日に対応してくれる救急病院の連絡先を、スマホに登録しておくべきだった。うちの近所だと「アニマルケア24」っていう夜間専門のクリニックがあるらしい。次は何かあってもすぐ連絡できるように、今度こそちゃんと準備しておこうと思う。
ペット保険も、もう一度真剣に検討しようかな。月々3千円くらいで、治療費の7割が戻ってくるプランとかあるみたい。でも免責事項とか補償内容とか、細かい条件を読むのが面倒で…まあ、また今度でいっか。
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

コメント