ペットが玄関で待ってる生活って、思ってたのと全然違った

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ドアを開けた瞬間、バタバタと駆け寄ってくる足音。これが毎日の帰宅のルーティンになってから、もう2年が経つ。

一人暮らしを始めて3年目の秋、なんとなく寂しくてペットショップに立ち寄ったのがきっかけだった。当時は「癒されたいな」くらいの軽い気持ちで、飼うつもりなんて全くなかったんだけど。ケージの中でこっちをじっと見つめてくる小さな生き物と目が合った瞬間、気づいたら店員さんに飼育方法を聞いていた。今思えば完全に衝動的な決断で、我ながらよくやったと思う。準備も何もしてなかったから、その日は慌てて東急ハンズを3軒はしごして、ケージやら餌やら、必要なものを買い集めた記憶がある。

最初の一週間は正直、後悔しかなかった。夜中に物音がするたびに目が覚めるし、餌の準備も思ったより手間がかかる。何より、自分の時間が圧倒的に減った。仕事終わりに同僚と飲みに行くことも減ったし、週末の予定も「長時間家を空けられない」という制約がついて回る。自由だった一人暮らしが、急に責任を伴うものになった感じ。

でも不思議なもので、1ヶ月もすると生活のリズムが変わってきた。

朝7時に起きて餌をやる。これが習慣になると、自然と夜も早く寝るようになる。以前は深夜2時くらいまでダラダラとスマホをいじっていたのに、今では23時には布団に入っている。健康的になったと言えば聞こえはいいけど、要するに体力が持たなくなっただけかもしれない。30代に入ると、本当に無理が効かなくなるんだよね…だけど。

会社での嫌なことがあった日でも、帰宅すると必ず玄関で待っていてくれる。別に何か特別なことをしてくれるわけじゃない。ただそこにいて、こっちを見ているだけ。それだけで「ああ、帰ってきたんだな」って実感できる。一人暮らしの部屋に帰っても、普通は真っ暗で静かで、誰も待っていない。でもペットがいると、小さな命が自分の帰りを待っていてくれている。その事実が、想像以上に心を軽くしてくれる。

友人には「ペットロス怖くない?」ってよく聞かれる。確かに考えたことはある。いつかは別れが来るし、その時は相当辛いだろう。でもそれを恐れて飼わない選択をしていたら、この2年間の日々はなかった。冬の寒い夜、暖房の前で丸まって寝ている姿を見ることも、餌を食べ終わった後の満足そうな表情も、全部経験できなかった。

ちなみに去年の夏、エアコンが壊れて焦ったことがある。真夏の8月で、気温は連日35度超え。ペットは暑さに弱いから、すぐに業者を呼んだんだけど、最短でも翌日の午後という返事。仕方なくその日は会社を早退して、保冷剤をタオルで巻いてケージの周りに置きまくった。扇風機も全開。自分は汗だくになりながら、ひたすらペットの様子を見守っていた。あの時ほど「生き物を飼うって大変だな」と思ったことはない。

でもね、その大変さも含めて、今は悪くないと思っている。

週末の朝、いつもより少し遅く起きて、ぼんやりとペットを眺めながらコーヒーを飲む時間。窓から差し込む朝日が部屋を温かく照らして、外からは鳥の鳴き声が聞こえてくる。特別なことは何もない、ただの日常。でもこの「ただの日常」が、一人暮らしを始めた頃には想像もできなかった豊かさを持っている気がする。

ペットとの生活は、思っていたよりずっと手がかかる。自由も減るし、お金もかかる。旅行にも気軽に行けなくなった。それでも帰宅した時に玄関で待っていてくれる存在がいるというのは、やっぱり特別なんだよね。

別に劇的に人生が変わったわけじゃない。ただ、帰る場所が「部屋」から「誰かが待っている場所」に変わっただけ。それだけのことなんだけど。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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