毎日の仕事に追われる日々。疲れ切って家のドアを開けると、そこには私を出迎えてくれる小さな家族がいます。
私が一人暮らしを始めて3年目のこと。周りの友人たちは結婚して新しい生活を始めていく中、私は仕事一筋の生活を送っていました。休日も家でゆっくりするだけの日々が続き、何か物足りなさを感じていた時、ペットショップの前で足を止めました。
ショーウィンドウの向こうで、小さな茶色のウサギが私を見つめていたのです。その瞬間、何かが心の中で動いたような気がしました。「この子と一緒に暮らしたい」そんな思いが突然湧き上がってきたのです。
もちろん、ペットを飼うことは簡単な決断ではありませんでした。一人暮らしで仕事も忙しい。果たして私にちゃんと面倒を見られるのだろうか。そんな不安もありました。でも、その目で見つめられた時、すべての迷いが吹き飛びました。
こうして、私とモカ（ウサギの名前です）との生活が始まりました。最初は戸惑うことばかり。ケージの掃除の仕方、餌やりのタイミング、適切な運動量など、すべてが手探り状態でした。でも、モカは私の不器用な世話を優しく受け入れてくれました。
朝、目覚ましが鳴る前にモカの気配で目が覚めます。「おはよう」と声をかけると、モカは小さな鼻をヒクヒクさせながら応えてくれます。朝食の準備をしている間も、キッチンまでついてきて私の足元でくつろいでいます。
仕事から帰ってくると、モカは必ず玄関近くで待っていてくれます。疲れて帰ってきた私を、まるで「お帰りなさい」と言うように出迎えてくれるのです。その姿を見るだけで、一日の疲れが癒されていきます。
休日には、リビングでモカと過ごす時間が何よりの楽しみです。好きな野菜をモグモグと食べる姿や、部屋を元気よく走り回る様子を見ているだけで、心が温かくなります。時には一緒にソファーで昼寝をすることもあります。モカの柔らかい毛並みに触れながら過ごす午後のひとときは、かけがえのない贅沢な時間です。
ペットと暮らすようになって、生活のリズムも自然と整っていきました。モカのために早起きする習慣がつき、規則正しい生活が送れるようになりました。休日も以前のように無為に過ごすことはなくなり、モカとの時間を大切にしながら、充実した日々を過ごせるようになりました。
また、ペットを通じて新しい出会いも増えました。近所の公園で散歩中の犬の飼い主さんと立ち話をしたり、ペットショップで他のウサギ好きの方と情報交換をしたり。一人暮らしでも、人とのつながりが自然と広がっていきました。
SNSにモカの写真を投稿すると、多くの人が「かわいい」とコメントをくれます。私にとってはごく普通の日常の一コマですが、それを共有することで誰かの心を少しでも和ませることができているのかもしれません。
モカと暮らすようになって、家に帰るのが本当に楽しみになりました。残業が続く日も、「モカが待っているから」と思うと、早く帰ろうという気持ちになります。そのおかげで、仕事にもメリハリがつくようになりました。
一人暮らしの寂しさを感じることもなくなりました。テレビを見る時も、本を読む時も、料理をする時も、モカがそばにいてくれます。言葉は交わせなくても、確かな存在感で私の生活を豊かにしてくれているのです。
ペットは家族です。責任も必要ですし、手間もかかります。でも、その何倍もの幸せと喜びを与えてくれます。毎日の小さな変化や成長を一緒に見守れることは、かけがえのない経験です。
最近では、休日にモカ用のおもちゃを手作りすることも楽しみの一つになりました。段ボールで迷路を作ったり、布で遊び道具を作ったり。モカが喜ぶ姿を想像しながら作る時間は、とても充実しています。
仕事で疲れた日も、モカと過ごす時間があれば自然と元気が湧いてきます。時には仕事の愚痴を聞いてもらうこともあります。もちろん、モカは私の言葉を理解していないでしょう。でも、そばにいてくれるだけで心が軽くなるのです。
これからも、モカとの生活は続いていきます。季節が変わり、年を重ねていく中で、きっと新しい発見や喜びがあることでしょう。一人暮らしだからこそ、ペットとの時間を大切にできる。そんな幸せを、私は日々かみしめています。
家に帰ると、いつも変わらぬ優しい眼差しで迎えてくれるモカ。小さな命との暮らしは、私の人生に想像以上の豊かさをもたらしてくれました。これからも、この大切な家族との時間を、一日一日大切に過ごしていきたいと思います。
コメント