
犬を助手席に乗せて高速に乗ったのは、去年の5月だったと思う。
最初に言っておくと、ペットとの車旅って雑誌で見るほどロマンチックじゃない。うちの柴犬のハルは窓の外を見るどころか、最初の30分で車酔いしかけて、慌ててサービスエリアに飛び込んだ。ネットで「犬は車が好き」みたいな記事を読んでたから、完全に油断してた。出発前に朝ごはんをがっつり食べさせたのが失敗で、獣医の友人に後から「空腹気味のほうがいいよ」って言われて、ああそうなのかと。
長距離移動で一番気をつけたいのは温度管理なんだけど、これがまた難しい。人間は暑ければ服を脱げばいいし、寒ければ着ればいい。でも犬は毛皮を着たまま生きてるわけで、エアコンの設定温度をいつもより2度くらい下げておかないと、すぐにハアハア言い始める。特に渋滞にハマったときは地獄で、真夏の東名高速で2時間動かなかったときは本気で焦った。後部座席に保冷剤を入れたタオルを敷いて、ペット用の水筒で水を飲ませて、それでもハルは不機嫌そうな顔してた。
休憩は2時間に1回って決めてたんだけど、実際は1時間半くらいで止まることになる。犬もトイレ行きたくなるし、なにより気分転換が必要みたい。
サービスエリアのドッグランは便利だけど、混んでる時間帯は避けたほうがいい。他の犬と喧嘩するとかじゃなくて、ハルの場合は人見知りならぬ犬見知りで、大型犬がいるとビビって固まる。ゴールデンレトリバーに尻尾振られただけで、私の足の後ろに隠れるんだから情けない。そんなときは人気のない駐車場の端っこで、リードつけたまま少し歩かせるだけでも全然違う。芝生があればなおいいけど、アスファルトでも気にしない。ただ真夏の昼間は地面が熱すぎて肉球が火傷するから、手の甲を地面に当てて確認するクセはつけたほうがいい。
そういえば前に、旅先で「ペットフレンドリーカフェ」って看板を見つけて入ったことがあるんだけど。店の名前は確か「カフェ・ボンボヤージュ」だったかな。犬連れOKって書いてあるのに、実際は「テラス席のみ」で、その日は雨が降りそうな曇り空。結局コーヒーだけテイクアウトして、車の中で飲んだ。あれは何だったんだろう。
車内での過ごし方も工夫がいる。ハルは最初、ずっとソワソワしてて落ち着かなかったから、普段家で使ってる毛布を持ち込んだら少しマシになった。匂いがするものがあると安心するらしい。あとはお気に入りのおもちゃを一個だけ、噛んでも音が出ないやつ。以前、ピーピー鳴るおもちゃを持ち込んだら、運転中ずっと鳴らされて発狂しそうになったから、これは本当に重要。音楽をかけるのもいいって聞いて試したけど、ハルには効果なかった。クラシックが犬を落ち着かせるって話、うちには当てはまらなかったみたい。
食事のタイミングも悩みどころで、移動中は基本的に与えない。到着してから1時間くらい休ませてから、いつもの半分くらいの量にしてる。環境が変わると食欲が落ちる犬もいるから、無理に食べさせなくていいと獣医さんは言ってたけど、ハルは逆にテンション上がって食べすぎるタイプだから調整が必要だった。
宿泊先を選ぶときは、ペット可ってだけじゃなくて、レビューをしっかり読んだほうがいい。「ペット可」でも実際は小型犬のみとか、ケージ必須とか、追加料金が高額とか、条件が色々ある。一度、到着してから「中型犬は想定してませんでした」って言われて、別の宿を探す羽目になったことがある。ハルは柴犬だから中型犬なのか小型犬なのか微妙なラインなんだけど、体重10キロ超えてるから一応中型扱いされることが多い。
夜は意外と平気で、疲れてるからぐっすり寝る。ただ朝が早い。いつもより1時間くらい早く起こされる。知らない場所だから警戒してるのか、ちょっとした物音で目を覚ますみたい。
帰りの車内では、行きよりリラックスしてることが多い。慣れたのか、諦めたのか。助手席でうとうとしてる姿を見ると、連れてきてよかったなって思う瞬間もある。
ペットとの車旅は準備が9割で、あとは臨機応変にやるしかない。完璧を目指すと疲れるだけだから、ハプニングも含めて楽しむくらいの気持ちでいたほうが、結果的にうまくいく気がしてる。次はどこに行こうかな、とか考えてる時点で、もう次の旅の計画は始まってるんだけど。
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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