帰宅後、ペットが玄関で待っている生活って実際どうなのか

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鍵を開けた瞬間、バタバタって音がする。

一人暮らしを始めて3年目の春、僕はハムスターを飼い始めた。名前はポテト。理由は特にない。なんとなくそう呼んだら定着しただけ。会社から帰ると、ケージの中でこっちを見てるんだよね。別に犬みたいに玄関まで迎えに来るわけじゃないけど、明らかに「帰ってきたな」って顔してる。あの小さな目で見られると、疲れてても「ただいま」って声が出る。人間って不思議だよね、相手が5センチくらいの生き物でも、ちゃんと会話が成立してる気分になるんだから。

ペットがいる生活って、正直めんどくさいことも多い。朝は早く起きなきゃいけないし、旅行も気軽に行けなくなる。でも帰宅した瞬間のあの感覚は、何にも代えがたいというか。部屋の電気をつけて、カバンを置いて、冷蔵庫を開ける前に、まずケージを覗き込む。それが習慣になってる。

ある日、会社で上司に怒られた。細かい内容は忘れたけど、要するに「お前の報告書は分かりにくい」みたいな話。帰りの電車でずっとモヤモヤしてて、スマホ見ても何も頭に入ってこなかった。夜の8時過ぎ、いつもより遅い帰宅。玄関開けた瞬間、ポテトが回し車で全力疾走してた。

あれ、なんか笑えてきちゃって。

上司がどうとか、報告書がどうとか、そんなのどうでもよくなった。少なくともその瞬間は。ポテトに餌をやって、水を替えて、ケージの掃除をしてる間、頭の中が空っぽになる。無心になれるっていうのかな。瞑想とかヨガとか、そういうのと似てるのかもしれない。知らないけど。

友達に「ペット飼ってるの?」って聞かれると、「ハムスター」って答えるのが少し恥ずかしかった時期もある。犬とか猫なら堂々と言えるのに、ハムスターって言うと「え、ハムスター?」みたいな反応されることが多くて。でも今はもうどうでもいい。ポテトはポテトだし、僕にとっては立派な家族だから。

そういえば、前に一度だけペット用品専門店「アニマルパートナーズ」で、やたら高級なケージを見かけたことがある。3万円くらいするやつ。透明なアクリル製で、インテリアとしても映えそうなデザイン。正直、買おうか迷った。結局買わなかったけど、あの時の店員さんの「ハムスターちゃん、喜びますよ」って言葉が妙に心に残ってる。喜ぶかどうかなんて、本当のところは分からないのに…だけど。

冬の夜、暖房をつけた部屋でソファに座ってると、ケージの中でポテトが巣材を運んでる音が聞こえる。カサカサって。その音を聞きながらビールを飲む時間が、一日の中で一番好きかもしれない。テレビもつけない、音楽もかけない。ただポテトの生活音だけが部屋に響いてる。

一人暮らしって、自由だけど孤独でもある。誰も待ってない部屋に帰るのは、慣れてるつもりでも時々キツい。でもポテトがいると、少なくとも「誰かがいる」って感覚がある。それだけで全然違う。餌をやる責任があるから、ちゃんと帰らなきゃって思える。変な話、ポテトに生活のリズムを作ってもらってる部分もある。

週末の朝、いつもより遅く起きると、ポテトはもう起きてて餌を待ってる。「ごめんごめん」って謝りながら餌をやる。謝る相手がいるって、案外悪くない。独り言じゃなくて、ちゃんと相手がいる会話。一方通行だけど、それでいい。

ペットがいる生活が楽しいかって聞かれたら、正直「楽しい」だけじゃ説明できない。責任もあるし、心配もある。でも確実に言えるのは、帰る場所に誰かがいるって感覚は、思ってた以上に大きいってこと。

明日もまた、鍵を開けた瞬間にバタバタって音がするんだろうな。それだけで、また一日頑張れる気がする。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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