
玄関のドアを開けた瞬間、バタバタと駆け寄ってくる足音。
一人暮らしを始めて3年目、ペットを飼うまでは会社帰りにコンビニ寄ったり、なんとなくスマホ見ながらだらだら歩いたりしてたんだけど、今は違う。改札を出たら一直線。寄り道なんてしてる場合じゃない。家で誰かが待ってるって分かってるから、足が勝手に早くなる。エレベーターが遅いとイライラするし、鍵を開けるときの手つきも雑になってきた。で、ドアを開けた瞬間のあの歓迎ぶりですよ。尻尾振って、ぴょんぴょん跳ねて、「おかえり!」って全身で表現してくる。こっちは8時間もデスクに座ってヘトヘトなのに、その姿見ただけで疲れが吹っ飛ぶ。
飼い始めたのは去年の秋だった。ペットショップで目が合って、なんとなく「この子だ」って思った。理由なんてない。衝動的だったかもしれないけど、後悔はしてない。
最初の一週間は正直大変で、夜鳴きするし、トイレは覚えないし、仕事中もずっと気になって集中できなかった。スマホで何度も部屋の様子を確認するアプリ開いて、「大丈夫かな」って心配ばっかりしてた。同僚に「最近様子おかしいけど大丈夫?」って聞かれて、「ペット飼い始めたんです」って答えたら「あー、親になったんだね」って笑われたけど、まさにそんな感じ。責任感みたいなものが急に芽生えて、自分でも驚いた。
そういえば、この前スーパーで「ペットフレンズ」っていうブランドの新しいおやつ見つけて、試しに買ってみたんだけど。食いつきが全然違ってびっくりした。今まであげてたやつは何だったんだって話。
帰宅してからのルーティンができてきた。まず玄関で思いっきり迎えられて、靴を脱ぎながら「ただいま、ただいま」って声かける。それからリビングに荷物置いて、すぐにごはんの準備。この順番を間違えると催促が激しくなるから、もう体が覚えてる。ごはんをあげてる間に自分も着替えて、一息ついたらやっと触れ合いの時間。床に座ると膝の上に乗ってきて、撫でろって要求してくる。スマホ触ってると「こっち見て」って顔で見上げてくるから、もうスマホなんて放り出して遊ぶしかない。
金曜の夜なんて特に楽しみで、明日は休みだからって夜更かしして一緒に過ごす時間が長くなる。テレビ見ながらソファでゴロゴロして、隣にいるだけで幸せを感じる。言葉は通じないけど、なんとなく気持ちは伝わってる気がする。こっちが疲れてるときは静かに寄り添ってくれるし、元気なときは遊びに誘ってくる。
以前は仕事終わりに飲みに行くこともあったけど、最近はほとんど断ってる。「ペットがいるから」って言うと、独身の同僚には理解されないこともあるけど、気にしない。だって本当に帰りたいんだもん。居酒屋で愚痴聞くより、家でもふもふしてる方が何倍も癒される。これ、飼ってない人には絶対分からない感覚だと思う。
朝も変わった。以前は目覚ましが鳴るまでギリギリまで寝てたけど、今は先に起こされる。顔の近くで鳴き声がして、目を開けると至近距離に顔がある。「ごはんちょうだい」って訴えかけてくる目を見たら、無視できない。眠くても起きるしかない。そのまま朝ごはんあげて、トイレ掃除して、水を替えて。出勤前の慌ただしい時間だけど、これが意外と悪くない。規則正しい生活になったし、遅刻も減った。
夏の暑い日なんかは、エアコンつけっぱなしで出かけるから電気代が跳ね上がって驚いたけど、それも必要経費だと思ってる。留守番させてる間、快適に過ごしてほしいから。帰ってきたときに元気でいてくれたら、それだけでいい。
一人暮らしって自由だけど、孤独でもあった。誰とも話さない日が続いたり、週末に予定がなくて一日中家にいたり。そういうとき、無音の部屋がやたら広く感じて、なんだか寂しくなることもあった。
今は違う。家に帰れば必ず誰かがいる。おかえりって迎えてくれる存在がいる。たったそれだけのことなのに、生活の質が全然変わった。「今日こんなことあったんだよ」って話しかけたり、「疲れたー」って愚痴ったり。返事は返ってこないけど、聞いてくれてる気がする。それで十分。
ペットとの生活は、想像以上に楽しい。世話は大変だし、自由は減ったし、お金もかかる。でも、それ以上に得るものが大きい。帰る場所があるって、待っててくれる誰かがいるって、こんなに心強いものなんだって初めて知った。
明日も仕事だけど、帰ったらあの子が待ってる。それだけで、また頑張れる気がする…多分ね。
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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