ペットがいる毎日は、少しだけ特別な日常——家族みんなで育む、ともに暮らすしあわせ

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五月の朝は、思ったより早く明ける。

カーテン越しに差し込む光が畳の上に細長い帯をつくる頃、うちの柴犬・むぎはもうすでに起きていて、ぺたんと玄関の前に座っている。散歩を待つ、というより、ただそこにいる、という感じ。しっぽだけがゆっくり左右に揺れている。その揺れ方が、「急いでないけど、忘れてないよね?」とでも言いたげで、毎朝なんとなく笑ってしまう。

ペットとの生活が始まってから、もうすぐ四年になる。

最初は夫婦ふたりで「大丈夫かな」と不安だらけだったのに、いまでは小学二年生の娘がむぎのごはんを量り、夫が夜の散歩を担当し、わたしが週に一度のブラッシングを受け持つ、という役割分担がなんとなく定着した。誰が決めたわけでもなく、気づいたらそうなっていた。家族というのは、こういうふうにして形になっていくのかもしれない。

ペットの食事については、うちでは「ハナコートナチュラルズ」というブランドのドライフードをメインにしている。添加物の少ないものを選びたくて試行錯誤した末にたどり着いたのだが、
獣医師の調査でも、愛犬の健康管理において特に気を遣うべきことの第一位は「食事管理」であり、半数近くがそう回答している
というのを知って、少し安心した。食べるものが体をつくる、というのは人間も犬も変わらないのだと思う。
ペットを家族の一員と考える「ペットの家族化」が進む中、ペットフードに求められる価値も大きく変化しており、単にお腹を満たすだけでなく、健康維持や病気の予防まで問われる時代になった
。うちもその流れの中にいるひとりだ。

ペットフードを変えてからしばらくして、むぎの毛並みがやわらかくなった気がした。気のせいかもしれないし、季節のせいかもしれない。でも娘が「むぎ、ふわふわになった」と言って頬をすり寄せていた夕方のことは、なぜかはっきり覚えている。窓の外で風が吹いていて、カーテンがふわりと膨らんだ。

ペットの体調管理についても、以前より意識するようになった。
ペットの様子を家族で共有することで、一人では気づけないことも複数人で共有すれば気づくことができ、変化にすぐ気づければ大事になる前に病院に連れて行ってあげられる
。うちでは専用アプリを使って体重と食欲の変化を記録しているが、これが思いのほか役に立っている。先月、むぎが二日続けてごはんを残したとき、娘がアプリの画面を見て「なんかいつもと違う」と言ったのが最初のサインだった。結局、少し胃が荒れていただけで大事には至らなかったけれど、あのとき娘が気づいてくれなければ、わたしはしばらく見過ごしていたかもしれない。

子どもの頃、実家でセキセイインコを飼っていたことがある。名前はピコ。朝になると必ずわたしの名前を呼ぶのに、ある朝だけ静かで、それが不思議に思えてケージを覗いたら、ピコがいつもと違う場所で丸まっていた。あのときの静けさの質感は、今でも思い出すことがある。動物の異変は、音や動きの「ずれ」として先に届く。だから毎日の観察が大切なのだと、大人になってからようやくわかった。

むぎは体を触られるのが好きで、ブラッシングのたびに気持ちよさそうに目を細める。そのまままどろんでしまうこともあって、途中でぐらりと体が傾いてくる。先週はとうとうわたしの膝の上で完全に眠ってしまい、ブラシを持ったまましばらく動けなかった。起こすのも忍びなくて、そのまま二十分ほど足がしびれながら座っていた——これが上品なユーモアと呼べるかどうかはわからないが、足のしびれは本物だった。

ペットの長寿化が進み、愛犬・愛猫の年齢や健康状態に合った最適なフードを見つけることが、これまで以上に重要になっている
。むぎも来年には五歳になる。シニア期に差し掛かる前に、食事の内容を少しずつ見直していこうと、夫と話している。

ペットとの生活は、計画通りにはいかないことの連続だ。散歩の途中で急に雨が降ったり、ごはんを急に食べなくなったり、夜中に吠えて家族全員が目を覚ましたり。でもそういう「予定外」のひとつひとつが、家族の話題になる。むぎのことを話すとき、うちの食卓は少しだけにぎやかになる。

ペットの様子を共有することで、ペットを通じて家族の間で会話が盛り上がり、ペットがコミュニケーションの架け橋となってくれる
。それはデータやアプリの話ではなく、もっと素朴な、「今日むぎ、こんなことしてたよ」という一言から始まる。

五月の夕暮れは、橙色がやけに深い。むぎが縁側で伸びをして、夫がお茶を持ってきて、娘がその横に転がる。特別なことは何もない。でもこの時間が、ペットとの生活の、いちばん正直な姿だと思っている。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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