家族みんなで育む、ペットとの生活——食事・体調管理・小さな奇跡の毎日

Uncategorized

Uploaded Image

梅雨の晴れ間が差し込んだ、ある土曜日の朝のことだった。

リビングの窓から斜めに射し込む光が、フローリングの上にゆっくりと広がっていく。その光だまりの中に、我が家の柴犬・むぎが丸くなっていた。耳だけぴくりと動かして、こちらの気配を察している。起きているのか眠っているのかわからないあの顔。子どもたちはまだ寝ていて、台所からコーヒーの香りだけが漂ってくる。ペットとの生活というのは、こういう朝の質感に、じんわりとしみ込んでいるものだと思う。

むぎが我が家に来たのは、三年前の秋だった。当時小学二年生だった長女が「絶対に世話する」と宣言して、その約束は今もだいたい守られている——だいたい、というのがポイントで、忙しい日は結局わたしが夕飯を用意することになる。それでもいい。家族の誰かがむぎのそばにいる、というのが、この家のリズムになっているから。

ペットの食事については、正直なところ最初はよくわかっていなかった。ドライフードを選ぶだけでも種類が多すぎて、棚の前で途方に暮れたことを覚えている。今は「ナチュラルグレインズ」というブランドのシニア向けフードをベースに、週に二、三回だけ蒸した鶏むね肉を少量トッピングしている。むぎが鼻をひくひくさせて器に近づく瞬間、尻尾の動きが明らかに速くなる。その変化を見るのが、毎朝の小さな楽しみになった。

犬には雑食性があり、何を食べさせるかには細心の注意が必要だ。
というのを読んでから、人間の食べ残しをあげる習慣はきっぱりやめた。
ヒトの食事内容は脂肪分が多すぎて、犬には適切に消化できないことがある
と知ったとき、少し怖くなった。愛情のつもりが、体に負担をかけていたかもしれないと思うと。

ペットの体調管理も、以前よりずっと丁寧になった。毎朝、むぎの目やにや耳の状態を確認して、食欲と便の様子をメモする。
家族みんなで記録を確認できるアプリ
を使い始めてから、夫も子どもたちも「むぎ、今日ちゃんと食べた?」と声をかけるようになった。些細なことのようで、これが意外と大きい。異変に気づくのが早くなったし、何より家族の会話にむぎが自然に入ってくるようになった。

去年の夏、むぎが少し食欲を落とした時期があった。三日ほど続いたとき、かかりつけの動物病院に連れていくと「暑さと加齢のせいかもしれない」と言われた。
高齢ペットとの暮らしは、飼い主のサポートが不可欠で、年齢・体調に合った栄養の摂取が大切
だと改めて実感した瞬間だった。むぎはまだ六歳で、シニアと呼ぶには少し早いかもしれない。でも、体のことを考えるのに「早すぎる」ということはないと、その夏から思っている。

夕方になると、長男がむぎのリードをつけて近所の公園へ散歩に行く。帰ってきたふたりの顔が、いつも少し誇らしそうなのがおかしい。玄関でリードを外すとき、むぎがぶるっと全身を震わせて、そのまま水皿に直行する。その一連の動作が毎日まったく同じで、見るたびになんだか安心する。

ちなみに先週、長女がむぎに「おすわり」を教えようとして、自分が先に床に座ってしまったことがあった。むぎはきょとんとした顔でその隣に並んで座り、ふたりで向き合うという謎の状況が生まれた。教えているのか教わっているのか、もはやわからない。

ペットとの生活は、計画通りにはいかない。食事の量を間違えることもあるし、体調の変化を見逃しそうになることもある。でも、家族みんなで気にかけているから、誰かが必ず気づく。むぎは言葉を話さないけれど、この家の空気をいちばんよく知っている生き物だと思う。

今日も朝の光の中で、むぎはまた丸くなっている。コーヒーカップを両手で包みながら、その寝顔をしばらく眺めた。こういう朝が、これからもずっと続けばいいと、静かに思う。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

コメント

タイトルとURLをコピーしました