ペットが病気になった朝——ペットとの生活で知っておきたい、病院・保険・そして傍にいること

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五月の朝は、いつもより少しだけ空気が甘い。窓の外では雨上がりの土のにおいが漂い、薄曇りの光がカーテン越しにやわらかく差し込んでいた。コーヒーを淹れようとキッチンへ向かったとき、いつもなら足元にまとわりついてくるはずの愛犬・むぎが、リビングの隅でうずくまったまま動かないことに気づいた。

呼んでも来ない。おやつを見せても、顔をわずかに上げるだけで、いつものキラキラした目がどこかくすんでいる。触れると体がほんのり熱く、鼻先がいつもより乾いていた。その感触が手のひらに残ったまま、頭の中が急に白くなった。

ペットは人と比べて早いスピードで歳をとるため、高齢になるにつれて病気にかかるリスクは高くなり、聴力や視力、消化機能、体温調節機能が衰えていく。
それは頭でわかっていたことだったけれど、実際にこうして目の前で具合の悪そうなむぎを見ると、知識と感情はまったく別のところに存在するのだと思い知らされる。

ペットとの生活は、喜びと不安がいつも隣り合わせだ。

ペットとの暮らしをきっかけに、日々の食事や健康管理について学ぶ飼い主も多い。
わたしもそのひとりで、むぎを迎えてからというもの、食材の成分表を読む習慣ができ、散歩コースの路面状態まで気にするようになった。それでも、病気の前兆というのは、ある朝突然やってくる。準備なんて、していたようで、していない。

スマートフォンを手に取り、近くのペット病院を検索した。「グリーンパーク動物病院」——以前、予防接種でお世話になったクリニックだ。受付時間まであと三十分。その間、むぎの横にしゃがんで、背中をそっと撫で続けた。毛並みはいつもより少し湿っていて、小さな呼吸のたびに胸がゆっくり上下している。こういうとき、言葉が出てこない。ただ、傍にいることしかできない。

ペット病院に着くと、待合室にはすでに数組の飼い主がいた。抱っこ紐に収まった小さな猫、おとなしくケージに入った白いうさぎ。みんな、同じような顔をしていた——心配と、それでも落ち着こうとする、あの顔。診察室に呼ばれ、先生がむぎの腹部を丁寧に触診しながら「胃腸炎の可能性が高いですね」と言った。点滴と投薬で様子を見ましょう、と。その言葉を聞いた瞬間、肩の力がすとんと抜けた。

帰り道、ふと思い出したのは子どもの頃に飼っていた猫のことだ。あの頃は近所に動物病院が一軒しかなく、親に連れて行ってもらうまでの時間が、やけに長く感じられた。今はスマートフォンで即座に症状を調べ、病院を予約できる。それでも、不安の重さは変わらない。むしろ情報が多い分、余計なことを考えてしまうこともある。

人間のように健康保険がないペットの治療費は高額になることがあり、こまめに病院を受診するのが困難だったり、希望の治療が受けられなかったりすることもある。
だからこそ、ペット保険の存在はありがたい。むぎを迎えた翌月に加入しておいたのは、正直「なんとなく不安だったから」という理由だったけれど、今日この日に、その選択を心から良かったと思った。

大切なペットが病気やケガをした際に高額の診療費がかかっても金銭的な心配をすることなく治療が受けられるよう、ペット保険は健康なうちから早めに加入しておいた方が安心だ。
ペット保険は、病気になってから慌てて調べても、
治療中や通院中の場合には加入不可か、条件付きの契約になる場合がほとんど
だという。元気なうちに、静かな夜に、少しだけ未来のことを考えておく。それがペットとの生活における、ひとつの誠実さなのかもしれない。

夕方、むぎは点滴を終えて帰宅した。ソファの上でうとうとしながら、時折わたしの手をぺろりと舐める。その舌の感触が、ひんやりしていて、やわらかかった。——ちなみに、看病しながらコーヒーを飲もうとしたら、むぎが寝返りを打った拍子にカップを倒してしまった。床に広がるコーヒーを拭きながら、思わず笑ってしまった。こういう小さなズレが、ペットとの生活には欠かせない。

ペットのメンタルヘルスや心理ケアへの関心も高まっており、ペットの心のケアが、より良い生活の一環として認識されつつある。
病気のときだけでなく、日常の中でペットのストレスや感情に目を向けること。それもまた、飼い主としての大切な役割だと、今日改めて感じた。

むぎは今、静かに眠っている。五月の夕暮れの光が、その丸い背中にやさしく落ちている。明日もきっと、また元気に走り回るだろう。ペットとの生活は、こんなふうに、不安と安堵を繰り返しながら続いていく。それでいい、と思う。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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