
朝の6時半、いつもと違う音で目が覚めた。
リビングに行くと、うちの猫のマロが隅っこで丸まっている。床には吐いたあとがあって、いつもみたいに「ごはんちょうだい」って鳴いてこない。こういう時、飼い主って本当に無力だと思う。人間なら「お腹痛い」って言えるけど、ペットは何も言えないから。体温を測ろうとしても嫌がるし、どこが痛いのかも分からない。
とりあえずスマホでペット病院を検索した。日曜の朝だったから、やってる病院が少なくて焦った記憶がある。結局、車で20分くらいのところにある救急対応の動物クリニックに電話して、すぐ連れて行くことにした。キャリーケースに入れる時、マロがすごく抵抗したんだけど、あの時の力の弱さで「あ、本当に具合悪いんだ」って実感した。
待合室には犬を連れた家族がいて、その犬もぐったりしていた。飼い主の女の子が泣きそうな顔でずっと撫でている。ペットが病気になると、家族全員が不安になるんだよね。
診察室に入ると、先生が触診しながら「いつから食欲ないですか」「便の状態は」って聞いてくる。正直、ちゃんと観察してなかったことを後悔した。毎日一緒にいるのに、いつから元気がなかったのか、はっきり答えられない。結局、血液検査とレントゲンを撮ることになって、待ち時間の間ずっとスマホを見てた。検査費用のこととか、もし入院になったらどうしようとか、考えても仕方ないことばかり頭に浮かんでくる。
そういえば前に友達が「ペット保険入ってる?」って聞いてきたことがあった。その時は「まだ若いし大丈夫でしょ」って適当に流したんだけど、今になって真剣に調べればよかったと思う。検査だけで2万円近くかかるって言われて、財布の中身を確認したもん。
診断結果は、胃腸炎だった。ストレスか、何か変なものを食べたかもしれないって。注射を打ってもらって、薬を処方された。先生は「2、3日様子を見て、食べられるようになったら少しずつフードをあげてください」って説明してくれたけど、その「様子を見る」っていうのが一番難しい。何をどう見ればいいのか、どのくらい回復したら安心していいのか。
家に帰ってから、マロ専用の記録ノートを作った。体温、食事の量、トイレの回数。几帳面じゃない私がこんなことするなんて、自分でも驚いたけど。最初の2日間は本当に何も食べなくて、水だけ少し飲む程度。夜中に何度も様子を見に行って、寝不足になった。仕事中もスマホの見守りカメラをチェックして、上司に「集中してる?」って注意されたり。
3日目の夕方、マロが自分からフードの入れ物に近づいてきた時は、思わず声が出た。ほんの少し、匂いを嗅いで、一口だけ食べた。たったそれだけのことが、こんなに嬉しいなんて。
回復してからも、前みたいに適当に接することができなくなった。毎朝、目の色とか耳の中とか、変なところチェックするようになったし、フードの成分表示も読むようになった。友達には「神経質になりすぎ」って笑われるけど、一度あの不安を味わうと、もう無関心ではいられない。
ペット保険も結局加入した。プランを比較して、レビューを読んで、3社くらい資料請求して。「アニマルケアプラス」っていう会社のやつにしたんだけど、月々の支払いは正直痛い。でも次に何かあった時、お金の心配で治療を躊躇したくないから。
今でもマロが少しでも元気ないと、すぐ体温測ったり病院に電話したりしてしまう。過保護かもしれないけど、あの時の無力感をもう一度味わいたくないんだよね。ペットを飼うって、こういうことなのかもしれない。楽しいことばかりじゃなくて、不安とか責任とか、そういうのも全部含めて。
結局、完璧な飼い主になんてなれないんだろうけど。
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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