ペットが病気になった夜、わたしたちにできること——ペットとの生活と、備えの話

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七月の夜は、妙に長い。

エアコンの効いた部屋の中でさえ、窓の外からは夏の熱気がじわりと染み込んでくる気がして、なんとなく落ち着かない。そんな夜だった。いつもならソファの端で丸くなっているはずの愛猫のムギが、キッチンの冷たいタイルの上に伸びていた。ご飯にも近づかない。名前を呼んでも、ほんの少し耳が動くだけ。

胸の奥に、ざわっとしたものが広がった。

ペットとの生活は、日々の小さな幸福の積み重ねだ。朝、コーヒーを淹れる音に反応して足元に寄ってくること。夜、読書しているとそっと膝の上に乗ってくる重さと温かさ。その体温が、今夜は少し違う気がした。触れると、いつもより熱い。

急いでスマートフォンを手に取り、近くのペット病院を検索した。夜間対応の動物病院を探しながら、心のどこかで「もっと早く気づいていれば」という後悔が滲んでくる。思えば昨日の朝、ムギが水を飲む量が増えていたことに気づいていた。でも仕事が立て込んでいたし、「まあ暑いからかな」と、自分に言い聞かせるように流してしまっていた。

ペットは言葉を持たない。だからこそ、飼い主が「いつもと違う」を感じ取る感度が、そのまま早期発見につながる。食欲の変化、排泄の回数、毛並みのくすみ、目の輝き。そういった細かなサインを日常の中で拾い続けることが、ペットとの生活における最大の医療行為かもしれない。

ペット病院に着いたのは、夜の九時を少し過ぎた頃だった。待合室には、ほかにも二組の飼い主がいた。キャリーバッグの中で小さく鳴く声、消毒液のつんとした香り、蛍光灯の白い光。緊張と静けさが混ざり合った空間の中で、わたしはムギの入ったバッグをぎゅっと抱きしめた。

診察の結果、軽度の膀胱炎との診断だった。投薬と安静で回復できるという言葉に、肩の力がすとんと抜けた。
ペット保険の補償内容は、動物病院を受診して「通院」「入院」「手術」をしたときの、それぞれの診療費をカバーするのが基本だ。
今回はペット保険に加入していたおかげで、通院費の大部分が補償された。もし加入していなければ、
ペットには人間の健康保険のような制度がないため、病院に連れて行くと診療費は全額自己負担となる。
そのことを改めて実感した夜でもあった。

ちなみに、ムギをキャリーバッグに入れようとしたとき、ムギはまんまと隙間に体を滑り込ませてソファの下に潜り込んだ。具合が悪いのに逃げ足だけは本調子で、思わず「それだけ元気があれば大丈夫かも」と心の中でひとりツッコミを入れた。

ペットの品種や年齢によってかかりやすい病気やケガがあるため、自分の飼っているペットがかかりやすい病気を補償してくれるか調べておくことが大切だ。
そして
ペット保険は、ペットが一度病気になってしまうと加入できない場合や、条件付きの加入となる場合もあるため、早めに検討するほうがよい。
元気なうちに備えること、それがペットとの生活を長く豊かに続けるための、地味だけれど確かな選択だと思う。

わが家では今、ムギの療養グッズを揃えるついでに、インテリアブランド「ノルディカペット」の低反発マットを購入した。少し値は張ったけれど、回復期に体を休めるための環境を整えてあげたかった。ペットとの暮らしは、日常の積み重ねと、いざというときの備えの両輪で成り立っている。

あの夜のタイルの上のムギを、わたしはきっとずっと覚えている。だからこそ今日も、ご飯の量、水を飲む様子、歩き方の変化を、ちゃんと見ていようと思う。それがペットとの生活の、いちばん素朴で、いちばん大切な約束だから。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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