我が家に小さな柴犬のチロが来てから、生活は驚くほど明るく、そして賑やかになった。朝は彼の優しい鼻先で起こされ、夜は温かい毛並みを撫でながら一日を締めくくる。そんな日々を送るようになって、もう3年が経つ。
チロを迎えた当初は、家族全員が戸惑いの連続だった。特に食事の管理には苦心した。獣医さんから「良質なドッグフードを基本に、時々手作りのおやつを与えるのがベスト」とアドバイスを受け、私たち家族は愛犬の健康を第一に考えた食事プランを立てた。妻は休日になると、鶏ささみと野菜を使った手作りのおやつ作りに挑戦。子供たちも「チロのおやつ作り」を手伝うのを楽しみにしている。
体調管理も重要な課題だ。毎朝の散歩は欠かさず、雨の日でも短時間でも必ず外に連れ出す。運動不足は様々な健康問題につながると知り、家族で当番制を組んで散歩を担当している。長女の美咲は学校から帰ると真っ先にチロの散歩に行きたがる。「今日は公園でボール遊びをしたの!チロ、すっごく楽しそうだった!」と目を輝かせながら報告してくれる。
定期的な健康診断も欠かさない。かかりつけの獣医さんは、チロの性格をよく理解してくれていて、優しく診察してくれる。予防接種やフィラリア予防など、季節ごとに必要な医療ケアも忘れずに行っている。体重管理表をつけ、毎月の変化を記録するのは次男の健一の担当だ。
食事の時間は特に楽しい。チロは自分の食器の前で行儀よく座り、「どうぞ」の合図を待つ。その姿があまりにも愛らしく、つい写真を撮ってしまう日も多い。休日の朝食時には、家族それぞれがチロの様子を見ながら、その日の予定を話し合う。「今日は天気がいいから、みんなで海辺の公園に行こうよ」「チロのお気に入りのボールも持っていこう」そんな会話が飛び交う。
グルーミングの時間も大切なコミュニケーションの機会だ。ブラッシングは毎日欠かさず行い、月に一度はシャンプーをする。最初は嫌がっていたシャンプーも、今では家族との触れ合いの時間として楽しんでいるようだ。特に主人が丁寧にブラシをかける時間は、チロにとって至福の時間のようで、うっとりとした表情を見せる。
季節の変わり目には特に注意を払う。夏場は暑さ対策として、朝夕の涼しい時間帯に散歩へ行き、こまめな水分補給を心がける。冬は寒さ対策として、短めのコートを着せることもある。玄関には季節に応じたペット用品が並び、チロの快適な生活をサポートしている。
家族の誕生日には、必ずチロ用の特別なケーキも用意する。ペット用のケーキを専門に作っているお店で予約し、みんなでお祝いをする。チロも家族の一員として、私たちと同じようにお祝いされることを喜んでいるように見える。
休日には、ペット同伴OKのカフェに出かけることも増えた。地域のドッグランで知り合った飼い主さんたちとの交流も広がり、新しい友人関係も生まれた。チロのおかげで、家族の行動範囲も広がり、生活がより豊かになっていく。
最近では、チロの写真や動画を家族のSNSで共有することも日課となった。「今日のチロ」というアルバムには、すでに数千枚の写真が保存されている。寝ている姿、遊んでいる姿、散歩中の様子など、何気ない日常の一コマ一コマが、かけがえのない思い出として積み重なっていく。
チロが教えてくれたのは、家族の絆の大切さだ。毎日の小さな責任を果たすことの意味、思いやりの心、そして無条件の愛情。時には手がかかることもあるが、その分だけ家族全員で協力し、支え合うことの大切さを学んだ。
これからも季節は巡り、日々は過ぎていく。その中で、チロと過ごす時間は私たち家族にとって何物にも代えがたい宝物となっている。朝の散歩で出会う近所の方々との挨拶、休日の公園でのピクニック、夜の団らんでのくつろぎ。そのすべてが、チロがいるからこそ特別な輝きを持って心に刻まれていく。
ペットとの暮らしは、確かに責任も伴う。でも、その何倍もの幸せと喜びを私たちに与えてくれる。チロと出会えたことに、家族全員が心から感謝している。これからも、この かけがえのない家族の一員と共に、たくさんの思い出を作っていきたい。そう、私たちは願っている。
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