ペットと行く車旅、長距離移動で気をつけたいこと全部話します

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梅雨の晴れ間が一日だけ顔を出した、六月の早朝のことだった。まだ空気がひんやりしていて、アスファルトが朝露で濡れていた。助手席のクレートの中で、うちの柴犬の「むぎ」は丸くなったまま微動だにしない。出発前にトイレを済ませ、ごはんも二時間前に終わらせた。準備は完璧なはずだった——のに、いざエンジンをかけた瞬間、むぎはおもむろに立ち上がり、クレートの中でくるくると三回転してからまた寝た。理由は今もわからない。

ペットを家族の一員として旅に連れ出す人は、ここ数年で急増している。ペットフード協会の調査では犬の飼育頭数が約750万頭に達し、「旅行や外出にもわんちゃんを連れて行きたい」というニーズが強く表れているという。
ペットとの生活が豊かになるにつれ、旅のスタイルも変わってきた。

車での長距離移動は、そんな時代の自然な選択肢だ。
中型犬や大型犬の飼い主は車を移動手段にしている方が多く、他の人を気にすることもなく、飼い主にとっても犬にとっても快適に移動できる。
ただし、快適さの裏側には、いくつか知っておくべきことがある。

まず、クレートへの固定は絶対条件だ。
愛犬を固定せずにフリーで乗せると、急に運転席に乗り出すなど危険な状況を招く可能性がある。体の大きさによって乗せ方を工夫し、大型犬でクレートが入らない場合はペット用シートベルトで固定するのが基本。
むぎも最初はクレートを嫌がっていた。一ヶ月かけて少しずつ慣らし、今ではむしろ自分から入っていく。慣れるまでの過程が、旅の安全をつくる。

車移動で重要になるのが、落ち着いて移動できる空間の確保だ。振動を緩和させるためにクッションを入れる、外の景色が気になって落ち着かない場合は目隠しを用意するなど、事前にできることはすべて準備しておくといい。
うちは「ドッグライフコ」というブランドのメッシュ素材のクレートカバーを使っている。通気性を保ちながら、外の刺激を適度に遮断してくれる。むぎが落ち着いて乗れるようになったのは、これを使い始めてからだと思う。

長距離移動で忘れてはならないのが、こまめな休憩だ。
休憩は最低二時間に一回は必ずとり、リードを先に着けてから車から降ろして排泄を済ませ、できるだけ体を動かして遊ばせてあげることが大切。
高速道路のドッグランは、大型犬と小型犬で分かれているところも多く、少し遊ばせてあげると車の中では寝てくれやすい。
東名高速のあるサービスエリアで、むぎを芝生の上に降ろした瞬間の顔が忘れられない。全身でにおいを嗅ぎ、しっぽを振り、地面を転がっていた。それまで二時間、静かに耐えていたエネルギーが一気に解放されるような光景だった。草のにおい、エンジンが冷えていく音、日差しの角度。あの瞬間だけに存在した情景だと思う。

温度管理も見落としがちな注意点のひとつだ。
通常、犬の平熱は38℃と人よりも高く、暑さにとても弱い。夏場の車内は室温が上がりやすいので、人間が少し肌寒いくらいの20〜25℃に設定してあげるのが目安。
六月のこの日も、エアコンは少し強めに設定した。むぎが後部座席のクレートの中でふうっと鼻息をついたとき、ちょうどいい温度だと伝わってくる気がした。

食事のタイミングも大切だ。
食事は車に乗る二〜三時間前に済ませ、さらに軽い運動やお散歩をしておくとよい。車酔いしやすいワンちゃんは、乗車前に動物病院で処方してもらった酔い止め薬を飲ませるのも有効な手段だ。
むぎは今のところ酔わないが、最初の長距離移動の前夜は正直、心配で眠れなかった。

ドッグランやペット施設を利用する際には、一年以内の狂犬病予防接種証明書と混合ワクチン接種証明書が必要不可欠。ワクチンの接種期限が切れていないか確認し、証明書は忘れずに持参しよう。
これを忘れると、せっかく立ち寄ったドッグランが使えない。旅先で悔やんでも遅い。

ペットとの生活は、日常の延長として旅を取り込んでいく。車の中で眠るむぎの横顔を、信号待ちのたびにちらりと確認する。そのたびに、連れてきてよかったと思う。長距離移動には注意することが多いけれど、それだけ守れるものも多い。この子と同じ風景を見るために、今日もハンドルを握る。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:UETSUJI TOSHIYUKI

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